「契約金はもう払ってしまった。これ、戻ってくるんだろうか」。今そう思って検索している方に向けて書いています。
先に、いちばん大事なところを書きます。戻るか戻らないかは「金額」ではなく「そのお金の名前」と「いつ言い出すか」で決まります。同じ100万円でも、申込金なのか手付金なのか工事代金の一部なのかで、扱いがまったく違います。
そしてもうひとつ。注文住宅で結ぶ契約と、建売住宅で結ぶ契約は別物です。よく見かける「手付金を放棄すれば解約できる」という説明は、建売などの売買契約の話で、注文住宅の工事請負契約にそのまま当てはまるとはかぎりません。
この記事では、3つのお金の呼び分け、注文住宅と建売の違い、戻る可能性がある場面と戻りにくい場面、そして自分の契約書のどこを開けば答えが書いてあるかまでを順番に書きます。
あいみつ僕は1社だけで契約した側の人間です。返金でもめた経験はないので、制度の話と、集めた体験談で書きます。
申込金・手付金・契約金は、同じお金ではない


住宅会社の担当者は、この3つをまとめて「契約金」と言うことがあります。けれど返還の話になった瞬間に、この呼び分けがそのまま結論を分けます。
申込金は、まだ契約ではない段階のお金
申込金・申込証拠金・予約金などと呼ばれます。「この土地を一週間押さえておきますね」「プラン作成に入る意思表示として」と言われて出すお金です。
ここが重要で、申込みの段階では契約はまだ成立していません。契約が成立していない以上、申し込みを取りやめたら預けたお金は返ってくるのが原則です。
不動産の売買では、宅地建物取引業法に基づく規則で、業者が預り金の返還を拒むことが禁止されています(宅地建物取引業法施行規則第16条の12)。注文住宅の工事請負でこの条文が直接効くわけではありませんが、契約前の預かり金という性質は変わりません。
もめるのは、申込書の隅に「本申込金は返還しないものとする」と書かれていて、そこにサインしている場合です。書面が残っていると話が長くなります。
手付金は、解約するときの値札がついている
手付金は、契約と同時に払うお金です。いくつか性質がありますが、実務でいちばん問題になるのは解約手付としての性質です。
なお、これから説明する民法第557条はもともと売買の規定です。請負のような有償契約には民法第559条によって準用されますが、請負では契約書の解除条項が優先して働く場面が多く、売買と同じようには進みません。
民法第557条第1項は、買主が手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して契約を解除できると定めています。売主側から解除するなら手付の倍額を現実に提供する必要があります。
ここで落としてはいけないのが「相手方が履行に着手するまで」という条件です。無期限ではありません。相手が動き出したあとは、手付を放棄しても解除できるとはかぎらなくなります。



「手付放棄すればいつでもやめられる」と読むと、期限のところで足をすくわれます。
契約金は、代金の一部として充当されることが多い
注文住宅で「契約金」と案内されるお金は、工事代金の一部を契約時に前払いするもの、いわゆる内金・着手金であることがよくあります。総額の5〜10%程度を求められる例が多いですが、これは法律で決まった率ではなく、会社ごとの支払い条件です。
代金の一部であれば、そのお金は解約の値札ではありません。やめるときは「払った分が没収」ではなく、かかった費用を精算して残りを返すという形になるのが筋です。もっとも、契約書に違約金の定めがあれば、その分が差し引かれます。
逆に言えば、契約金という名前でも中身が手付なら手付の扱いになります。名前ではなく、契約書での位置づけで決まります。
判定は、領収書と契約書の但し書きで行う
自分が払ったお金がどれなのかは、記憶ではなく紙で確かめます。見る場所は3つです。
- 領収書の但し書き
- 契約書の支払条件の欄
- 申込書の控え
「手付金として」「工事代金内金として」「申込金として」。この一行が、このあとの話の前提を全部決めます。手元になければ、控えの再発行をお願いしてください。
注文住宅と建売では、契約の種類から違う


ネットの記事を読んでいて話が噛み合わない感じがするなら、たいていここがずれています。
注文住宅で結ぶのは「工事請負契約」
ハウスメーカーや工務店に家を建ててもらう契約は、建物を完成させてもらう請負契約です。建設業法第19条で、契約の内容を書面にして交付することが求められていて、解除に関する定めもそこに書かれます。
請負については、民法第641条が、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できると定めています。やめること自体はできる。ただし損害の賠償がセットだ、という構造です。
つまり注文住宅では「手付を捨てれば終わり」ではなく、「損害はいくらか」の話になりやすい。金額が先に決まっていないぶん、交渉の余地も、もめる余地も残ります。
この「損害」は、実際にかかった費用だけとはかぎらず、請け負った側が得られたはずの利益が含まれることもあります。一方で、解除によって支出せずに済んだ費用は差し引かれる考え方が取られます。だからこそ、内訳を出してもらう意味があります。
建売や分譲地の建物付き契約は「売買契約」
すでに建っている家や、建物込みで売られている物件を買う契約は売買です。ここでは民法第557条の手付解除が正面から効きます。
さらに、売主が宅地建物取引業者で買主が業者でない場合は、宅地建物取引業法第39条によって、手付は代金の20%を超えて受け取れず、受け取った手付は解約手付として扱われます。買主に不利な特約は無効です。
この保護は宅建業者が売主の売買の話です。工務店に建ててもらう工事請負契約には、この条文はかかりません。
どちらの話かで、結論の出方が変わる
ざっくり並べると、次のような違いになります。自分がどちらの契約書にサインしたのかを先に確かめてください。
| 比べる点 | 注文住宅(工事請負) | 建売など(売買) |
|---|---|---|
| 契約の種類 | 請負契約 | 売買契約 |
| やめるときの根拠 | 民法641条・契約書の解除条項 | 民法557条の手付解除・契約書 |
| 期限の目安 | 仕事が完成するまで | 相手方が履行に着手するまで |
| 払う費用の考え方 | 損害の賠償・出来高の精算 | 手付の放棄 |
| 宅建業法39条 | 対象外 | 売主が業者なら対象 |
なお土地を先に買い、建物を別の会社に頼む場合は、同じ家づくりの中で売買契約と請負契約の両方を結ぶことになります。返金の話も2本立てで考える必要があります。
戻ってくる可能性があるのは、この4つの場面


「絶対に戻る」と言い切れる場面はありません。ただ、可能性が高い型はあります。まず、自分がどこに立っているかを先に確かめてください。
| いまの状況 | 先に見るところ |
|---|---|
| 契約書にまだサインしていない | 申込書の控えの返還条項 |
| サイン済み・ローン審査が通らない | 融資利用の特約の期限日 |
| サイン済み・自分の事情でやめたい | 解除条項と違約金の定め |
| サイン済み・相手の対応に問題がある | 約束の内容が書かれた書面 |
どの行に当てはまるかで、このあと読む順番が変わります。
まだ契約書にサインしていなかった
いちばん戻りやすいのがこの型です。契約書を交わす前に払った申込金・予約金は、契約が成立していないお金だからです。
言い出すときは、感情ではなく事実で伝えます。「申し込みを取り下げます。契約締結前ですので、お預けした申込金のご返金をお願いします」。これで十分です。
返還しないと言われたら、その根拠を書面で示してもらってください。示せる根拠がないまま押し切られるのがいちばんもったいない場面です。
住宅ローン特約(融資利用の特約)が入っていた
住宅ローンの本審査が通らなかったときに、契約を白紙に戻して受け取ったお金を返す、という取り決めです。ローン特約・融資特約と呼ばれます。
効くのは、契約書にその条項が入っている場合だけです。そして条項には、たいてい期限と、申し込む金融機関と、通知の方法が書かれています。期限を1日過ぎると使えなくなる書き方もあります。
審査が不安なうちから、この条項の日付だけはカレンダーに入れておいてください。ここを逃して自己都合扱いになるのが、いちばん悔しい落ち方です。
相手側に契約違反があった、または合意で解除した
約束した期日までに着工しない、契約内容と違う仕様で進めている、必要な説明をしていなかった。こうした事情があるときは、こちらの自己都合ではありません。
また、双方が納得して解除する合意解除では、返金の範囲も話し合いで決まります。実際にはこの型がいちばん多く、かかった実費だけ精算して残りを返すという着地になることがあります。
合意の内容は必ず書面にしてもらってください。口約束のまま振込を待つと、金額が後からずれます。
クーリング・オフが使えるのは例外的な場面だけ
先に結論を書きます。住宅会社の事務所や展示場で結んだ契約は、原則としてクーリング・オフの対象になりません。
宅地建物取引業法第37条の2のクーリング・オフは、宅建業者が売主となる宅地建物の売買で、事務所等以外の場所で申込みや契約をした場合の制度です。工事請負契約はこの制度の対象ではありません。
一方で、自宅に訪問してきた営業からその場で契約したようなケースでは、特定商取引法の訪問販売にあたる余地があります。あてはまりそうなら、判断は自分でせず消費生活センター(消費者ホットライン188)に事実関係を話してください。
戻りにくい・差し引かれるのは、この場面


逆の型も見ておきます。ここを知らずに「全額返ってくるはず」と構えると、話し合いで気持ちが折れます。
理由が自分側の事情だけのとき
気が変わった、他社のほうが良く見えてきた、家族に反対された。どれも正当な気持ちですが、契約の世界では自己都合です。
売買で解約手付として払っていれば、手付を放棄する形になります。請負であれば、民法641条の損害賠償の話になります。
相手が履行に着手したあとだった
手付による解除には「相手方が履行に着手するまで」という期限があります。何をもって着手とみなすかは事案ごとの判断になりますが、資材の発注や工事の準備が進んだあとほど、主張は通りにくくなります。
だからこそ、迷いが出た時点で早く言うほうが、結果としてお金が残ります。言いにくさで1か月置く選択が、いちばん高くつきます。
すでに設計・申請・調査にお金が動いていた
間取りの作成、地盤調査、確認申請の準備。契約後は、見えないところで外注費や人件費が発生しています。
精算を求められたら、金額を鵜呑みにせず何にいくらかかったのかの内訳を書面でもらう。これは疑うためではなく、双方が同じ紙を見て話すためです。
契約書に違約金の条項が入っていた
「契約金額の○%を違約金とする」といった条項が入っていることがあります。率は会社ごとに違い、法律で一律に決まっているものではありません。10%という数字をどこかで見たとしても、自分の契約がそうだとはかぎりません。
自分の契約書に書かれた率と、適用される時期(着工前か後か)を読んでください。判断に必要なのは相場ではなく、その1行です。
解除そのものの流れと費用の考え方は、注文住宅の契約後の解約と違約金の考え方のほうが詳しいので、やめる方向に傾いている方はあわせて読んでみてください。
自分の契約書の、どこを開けばいいか


ここからは今夜できる作業です。契約書と、その別紙の約款を用意してください。見るのは次の5か所だけです。
支払条件の欄:払った金の名前を確認する
契約時金・着工時金・上棟時金・完成時金、というように支払いの回数と金額が並んでいます。契約時に払った分が何と書かれているかを見ます。
「手付金」と書いてあるのか、「請負代金の内金」と書いてあるのか。ここが最初の分岐です。
解除条項:誰が、いつ、どうやってやめられるか
「注文者は、工事完成前においては、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる」といった文があるはずです。あわせて、通知の方法(書面か、内容証明か)も書かれています。
通知の方法を守らないと、こちらの落ち度にされます。メールで済ませず、指定どおりに出してください。
ローン特約:期限の日付と対象の金融機関
「令和○年○月○日までに融資の承認が得られないときは」という日付を探します。ここが過ぎていると、同じ理由でも扱いが変わります。
対象の金融機関が限定されている書き方もあります。そこに書かれていない銀行で落ちても使えないことがあるので、審査を出す前に読むのが本当は正解です。
特約欄:手書きや追記がいちばん強い
印刷された本文より、あとから書き足された特約のほうが優先されることがあります。空欄に見えても、うしろのページに続きがある場合があります。
打ち合わせで口頭で聞いた約束が、ここに書かれていないなら、それは残っていない約束です。
約款:損害金の計算方法が書かれている
本体の契約書が2枚でも、別紙の約款が20ページある、というのはよくあります。金額の話はたいていこちらに入っています。
読み切れないときは、該当ページの写真を撮って、無料の相談窓口に持っていってください。住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤル(0570-016-100)では、建築の相談を受け付けています。
契約前の段階で確認しておく項目は、注文住宅の契約前チェックリストに15項目でまとめてあります。これから払う側の方は、先にそちらを見てからのほうが早いです。
払う前の人と、払った後の人で、やることが違う


同じキーワードで検索していても、立っている場所が違います。分けて書きます。
まだ払っていないなら、名前と条件を先に決める
払う前が、いちばん自由度が高い瞬間です。金額を値切る話ではなく、条件を文字にしてもらう話をしてください。
- お金の名前を確認する
- 返還の条件を書面で残す
- ローン特約の期限を決める
- 領収書の但し書きを指定する
そして、僕自身がやらなかったことをひとつだけ書きます。払う前に、他社の条件を並べて見る。僕は1社しか見ないまま契約して、あとから約350万円を払わなくてよかったと気づきました。
契約日まで2週間以上あるなら、カタログと価格帯をまとめて取り寄せて比べるだけでも判断材料が変わります。持ち家計画で複数社の資料をまとめて請求する方法なら無料で、家にいながら条件を横に並べられます。
何社に頼むと手に負えなくなるかは、資料請求は何社くらいがちょうどいいかにまとめています。数を増やせばいいという話でもありません。
もう払ったなら、順番を守って動く
焦って先に「解約したい」と言ってしまうと、相手も身構えます。順番はこうです。
- 領収書の但し書きを見る
- 解除条項と特約を読む
- ローン特約の日付を確認
- 事実だけを書面で質問する
- 返事が来てから判断する
解約を決めるのは5番のあとで間に合います。ここまでを今夜のうちに済ませれば、明日の電話で言葉に詰まらずに済みます。
そのまま貼って送れる確認の文面
解約の意思を出す前に、事実確認だけを投げる文面です。角を立てずに、書面の記録を作れます。
お世話になっております。契約内容の確認をお願いしたく、ご連絡しました。
1. 契約時にお支払いした金額は、契約書上どの名目にあたるかをご教示ください。
2. 現時点で解除した場合に、精算の対象となる費目と金額の目安をお知らせください。
3. 融資利用の特約の期限日をあらためてご確認ください。
現段階では解除を決めたわけではなく、条件を正しく把握したうえで判断したいと考えております。ご回答をいただくまでの間、新たな発注や工事の準備は保留していただけますでしょうか。お手数ですがメールでご回答いただけますと助かります。
返事は、金額よりも書き方を見てください。費目を分けて答えてくれる会社と、「規定です」で終わる会社では、この先の話の進み方が変わります。
ちなみに、契約後に金額が上がる話が引き金になっている方は、契約後に値上げされたときの断り方と線引きを先に読んだほうが、解約以外の選択肢が見えます。
契約金・手付金の返金で揺れた5人の話


ここからは、実際に集めた体験談を、個人が特定されない程度に一部再編集したものです。金額や進み方は契約ごとに違います。自分の契約書の条項を確かめる材料として読んでください。
申込金10万円は「契約前だから」で戻ってきた
展示場で3時間ほど話を聞いた帰り際、「この区画、来週には動くかもしれないので」と言われて申込金を10万円振り込みました。契約書はまだ交わしていません。手続きとしては、A4の申込書に住所と名前を書いて、その場で写真を撮られただけでした。
その週末、別の会社の完成見学会に行って気持ちが変わりました。同じくらいの広さで、断熱の等級が上でした。妻も「こっちのほうが冬が楽そう」と言っていて、帰りの車で意見が一致しました。
問題は、10万円をどう言い出すかでした。営業さんは親切な人で、娘にジュースを出してくれた人でもあります。「返してください」と言うのが申し訳なくて、3日ほど下書きを書いては消していました。
結局、余計なことを書くのをやめて、申込みの取り下げと返金のお願いだけをメールで送りました。返事は翌日に来て、「契約前ですので全額お返しします」の一行と、振込先を教えてほしいという内容でした。拍子抜けするくらいあっさりしていました。
あとで申込書の控えを見直したら、返金しないという記載はどこにもありませんでした。もめる理由が最初からなかったわけです。怖かったのは相手ではなく、条件を確かめていない自分の側だったのだと思います。
言いにくさで1週間置いていたら、その間にプランの作成が始まっていたかもしれません。早く言うのは、相手のためでもありました。
ローン特約の日付を1週間過ぎていた
事前審査が通っていたので、本審査も大丈夫だと思い込んでいました。実際には、契約のあとに車を買い替えていて、その分が響いたようです。減額回答が来たのは、契約から2か月ほど経った頃でした。
契約書を開いて、融資利用の特約のページを探しました。日付は書いてありました。そして、その日付は、私が銀行から回答をもらう1週間前に過ぎていました。
その1行を読んだときの感覚は、今でも思い出せます。文字は読めているのに意味が入ってこなくて、同じ行を4回くらい目で追いました。妻には、その日は何も言えませんでした。
担当者に相談したところ、「期限は過ぎていますが、事情が事情なので社内で相談します」と言ってもらえました。最終的には、契約時に払ったお金から、設計と申請にかかった分を差し引いた金額が戻る形で合意しました。全額ではありません。
後日、当時の担当者にこう言われました。「期限の前にひと言もらえていたら、延長の書面を作れました」。手続きとしては珍しいことではないそうです。知らなかっただけで、選べる道がありました。
今から契約する人には、審査の結果より先に、特約の日付をカレンダーに入れてほしいです。あの1行は、契約の日にはただの日付にしか見えませんでした。
実費を引かれた分だけ戻ってきた
契約から1か月半で、夫の転勤が決まりました。内示の電話が来たのが金曜の夕方で、その週末はほとんど会話がありませんでした。家を建てる土地に住まないことが決まってしまったので、続ける選択肢はありませんでした。
住宅会社には月曜の朝に電話しました。事情を話したら、担当者は「まず社内で、今どこまで費用が出ているかを整理します」と言って、2日後に内訳の紙を持ってきました。
紙には、基本設計の作業、地盤調査の外注費、確認申請の準備、それぞれの金額が分けて書いてありました。合計は、契約時に払った金額の半分弱でした。残りは返金されました。
納得できたのは、金額が安かったからではありません。何にいくらかかったのかが紙に書いてあって、地盤調査の日付まで確認できたからです。あの紙がなかったら、たぶん最後まで疑っていたと思います。
義母には「全部返してもらいなさいよ」と言われました。気持ちはありがたかったのですが、実際に人が動いた分まで返せとは言えませんでした。そこは夫婦で先に決めておいてよかったです。
解約そのものより、内訳を出してもらうまでの2日間のほうが長く感じました。待っている間に何度も金額を計算していました。電卓を叩いては、返ってこなかった場合の貯金の残りを数えていた記憶があります。
領収書の但し書きで、話の前提が変わった
解約の話を切り出したとき、担当者から「手付金は返らない規定です」と言われました。自分でも調べていて、手付は放棄するものだと思っていたので、その場では引き下がりました。
ただ、家に帰って領収書を探したら、但し書きに「請負代金の内金として」と印字されていました。手付金とは書かれていません。契約書の支払条件の欄も同じ言葉でした。
翌日、その2枚の写真を添えて、名目の確認をメールで送りました。返信は少し時間がかかりましたが、内容は「ご指摘のとおり内金としてお預かりしています」というものでした。そこから、精算という前提で話が進みました。
最終的に戻った金額は、期待していたほど多くはありません。それでも、没収されるものだと思っていた状態から前提が変わったのは大きかったです。
担当者が嘘をついていたとは思っていません。社内で長く「契約金」と呼んでいたのだろうと思います。呼び方と契約書の言葉がずれることは、たぶん珍しくありません。
電話で言われたことを、そのまま結論にしなくてよかった。手元の紙を見ただけなので、特別なことは何もしていません。調べた法律の知識を使ったわけでもなく、領収書の一行を読み上げただけです。
もし書類を捨てていたら、この確認はできませんでした。契約に関する紙は、しばらく一か所にまとめておくことをおすすめします。
言い出すのが2か月遅れて、負担が増えた
契約してすぐ、間取りの打ち合わせのたびに気持ちが重くなっていました。要望を伝えても図面が変わらず、聞き返すと「その形だと構造が」と説明されて終わる。噛み合っていない感覚がずっとありました。
それでも、契約したばかりで言い出すのは失礼だと思っていました。妻には「もう決めたんだから」と自分で言っていたくらいです。今思えば、決めたのは自分の気持ちではなく、判子のほうでした。
切り出したのは2か月後です。そのときにはもう、地盤調査も確認申請の準備も終わっていて、資材の一部は発注済みだと言われました。精算の対象が、最初に迷った時点より明らかに増えていました。
担当者は淡々と「もう少し早ければ、ここは動いていませんでした」と言いました。責めるつもりではなかったと思います。ただ、事実として、待った2か月ぶんのお金が乗っていました。
解約自体はできました。金額も、覚悟していたよりは収まりました。それでも、あの2か月は何のために黙っていたのかとは今でも思います。
迷っている人には、解約を勧めたいわけではありません。迷いを口に出すのは早いほうがいい、というだけです。相談したからといって、その場で決める必要はありません。
5人の話に共通しているのは、金額そのものより、紙を見たか見ていないかで結果が分かれている点です。
注文住宅の契約金・手付金の返金に関するよくある質問


相談を受けることが多い質問をまとめました。最終的な判断は、必ず自分の契約書と専門の窓口で確かめてください。
- 契約金と手付金は何が違いますか?
-
手付金は契約と同時に交付され、解約手付として働くことがあるお金です。契約金は会社側の呼び方で、中身が工事代金の一部(内金)であることもあります。どちらなのかは契約書の支払条件の欄と領収書の但し書きで判断してください。
- 手付金を放棄すれば、いつでも解約できますか?
-
いつでもではありません。民法第557条第1項の手付解除には「相手方が契約の履行に着手するまで」という条件があります。相手が動き出したあとは、手付の放棄だけでは解除できないことがあります。
また、この条文は売買契約の定めです。注文住宅の工事請負契約では、契約書の解除条項と民法第641条の損害賠償が問題になります。
- 契約前に払った申込金は戻りますか?
-
契約が成立していない段階の預かり金なので、申し込みを取り下げれば返還されるのが原則です。不動産の売買では、宅地建物取引業法施行規則第16条の12で、業者が預り金の返還を拒むことが禁じられています。
ただし「返還しない」という書面に署名している場合は争いになります。申込書の控えを確認してください。
- 注文住宅でクーリング・オフは使えますか?
-
住宅会社の事務所や展示場で結んだ契約は、原則として対象外です。宅地建物取引業法第37条の2のクーリング・オフは、宅建業者が売主となる宅地建物の売買で、事務所等以外の場所で申込み等をした場合の制度です。
自宅への訪問販売で契約したような場合は、特定商取引法の適用を検討する余地があります。消費者ホットライン188で事実関係を伝えて相談してください。
- 違約金は契約金額の10%が相場ですか?
-
法律で一律に決まった率はありません。率も、適用される時期も、契約書の条項次第です。着工前と着工後で分けて定めていることもあります。
相場の数字を探すより、自分の契約書の該当条項を読むほうが確実です。
- 住宅ローンの審査に落ちたら全額戻りますか?
-
契約書に融資利用の特約(ローン特約)があり、その条件を満たしていれば、白紙解除として返還される扱いが一般的です。特約がなければ自己都合の解除として扱われることがあります。
特約には期限と、対象となる金融機関、通知の方法が書かれています。審査を出す前に確認してください。
- 建売と注文住宅で扱いは違いますか?
-
違います。建売などの売買契約では民法第557条の手付解除が正面から問題になり、売主が宅建業者なら宅地建物取引業法第39条により手付は代金の20%以内で、解約手付として扱われます。
注文住宅の工事請負契約は宅建業法の対象ではなく、契約書の解除条項と民法第641条が基準になります。
また、業者が売主の売買では、一定額を超える手付金等について保全措置が求められます(宅地建物取引業法第41条・第41条の2)。建売で手付を払うときは、保全措置の有無もあわせて確認してください。
- 解約を伝えるのは電話とメールのどちらがいいですか?
-
記録が残る方法を使ってください。契約書に通知の方法が定められている場合は、その方法に従う必要があります。書面や内容証明を指定していることもあります。
いきなり解約を伝える前に、名目と精算範囲を質問するメールから始めると、選択肢を残したまま記録を作れます。
- 精算額の内訳を出してもらえますか?
-
お願いして問題ありません。設計、地盤調査、確認申請の準備など、費目ごとの金額と日付を書面でもらってください。疑うためではなく、同じ紙を見て話すためです。
内訳を出せない、規定だからの一点張り、という対応が続く場合は、第三者の窓口に相談する段階です。
- 無料で相談できる窓口はありますか?
-
住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤル(0570-016-100)で、住宅の建築に関する相談を受け付けています。契約や勧誘のトラブルは消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターにつながります。
相談するときは、契約書・約款・領収書・やりとりの記録を手元に用意しておくと話が早く進みます。
まとめ:戻るかどうかは、名前と時期と契約書の3つで決まる


「戻ってくるか」の答えは、ネットの相場表ではなく、手元の紙の中にあります。払ったお金の名前、言い出す時期、そして契約書の条項。この3つで決まります。
- 申込金は契約前の預かり金
- 手付解除には期限がある
- 請負と売買で根拠が違う
- ローン特約は日付が命
- 迷いは早く口に出す
今夜やることは1つだけで十分です。領収書の但し書きと、契約書の解除条項を開いて、自分のお金がどれなのかを確かめてください。
そして、これから払う側の方へ。払う前に他社の条件を並べておくと、そもそも返金の心配をしなくて済みます。僕が1社だけで決めて後悔した分を、同じように払う必要はありません。
すでに払ってしまった方は、比較よりも先に領収書の但し書きです。ここから先は、これから払う側の方に向けた話になります。
契約日まで2週間以上あるなら、今日のうちに持ち家計画でカタログと価格帯をまとめて取り寄せるだけでも、条件を横に並べて比べられます。無料で、家にいながらできます。
家づくり、こんなところで止まっていませんか?
- 何を基準に選ぶか分からない
- 共働きで展示場を回る時間がない
- 総額でいくらできるか見えない
- 土地探しと家づくりの進め方が不明
- 展示場で話が進むのが不安
「予算はどれくらい?」「間取りはどう決める?」「土地もまだ」。この最初の悩みをまとめて相談できるのが、タウンライフ家づくりです。希望に合った住宅メーカーの提案と、間取り・見積もり・資金計画を無料でもらえます。
僕は展示場に行って、感じのいい営業さんに会って、3か月後に1社で契約しました。比べなかった代償が350万円です。展示場に行く前に、家で比べる材料を揃えてください。
\ タウンライフ家づくりの特徴 /
- 完全無料・ネット完結で比較できる
- メール連絡を要望欄で指定できる
- 依頼する会社は自分で選べる
- 間取り・資金計画・土地も相談できる
- 家づくり冊子2種をプレゼント
- 全国1,340社以上が提携
- 大手35社以上・2026年9月公式
スマホで3分の入力で申し込めます。利用は完全無料です。
\ 家づくり冊子2種プレゼント中 /
申し込みのコツ:会社を選ぶ画面では「まとめて選択」か3社以上にチェック(1社だけでは比べられません)。電話番号・住所を正確に入力すると、提案が届きやすくなります。
【PR】タウンライフ家づくり








